メンズファッション

ファッションのベーシックカラーを知ろう

ファッションでの色合わせは印象に重要な要素です。服のサイズ感さえあっていればいいというものではなく、色合わせはパッと見のセンスの良さがでます。

サイズ感・色合わせ・コーディネートがその人に似合っているが三大要素です。ディテールなど細かい部分はその次です。

まずは色合わせの基本となるベーシックカラーを覚えて取り入れましょう。

ベーシックカラー

ベーシックカラーとはファッションによく使われる基本的な6色のことを指します。ベーシックカラーはどれも落ち着いた色合いなのでお互い邪魔にならずよく馴染みます。これらの色をベースに揃えていくと色合わせで大きく失敗することはありません。

ベーシックカラーはブラック、グレー、ホワイト、ネイビー、ブラウン、ベージュの6色です。日本語名なら黒、灰色、白、紺色、茶色、ラクダ色です。

ベーシックカラー6色
上段が無彩色、下段が有彩色

ベーシックカラーに限らず、色は大きく分けて無彩色と有彩色に分けられます。

無彩色と有彩色

無彩色とは色味のない色です。黒、白、グレーは無彩色です。

コーディネートは多くて2~3色にまとめるといいのですが、この際、無彩色は色としてカウントしません。そのため、無彩色はひときわ便利な色です。

有彩色は無彩色以外の色味のある色です。

ベーシックカラーの有彩色は落ち着いた色合いで合わせやすいです。

ドレス、カジュアル両方いける万能なネイビー、それよりカジュアルなベージュ、ブラウンに分けられます。

ベーシックカラー6色+2色

ベーシックカラーは色味が落ち着いてるため合わせやすい反面、地味になりがちなので、そのほかの定番の2色を足すとグッと着こなしの幅が広がります。

その追加の2色はライトブルーカーキ(オリーブ色)です。

ベーシックカラー6色+2色

どちらも落ち着いた色合いなのでベーシックカラーと相性がよく、コーディネートに取り入れやすいでしょう。

パーソナルカラーは一旦置いておく

人によって似合う色と似合わない色がありますよね。その人の似合うカラーを診断するのがパーソナルカラーです。

自己診断は難しく、プロによる判定が必要ですし、化粧を行う女性中心の概念でややこしいので一旦は置いておきます。

ベーシックカラー自体はほとんどの人に似合うと思います。そもそもメンズファッション自体、ベーシックカラーのアイテムが多いのですよね。

ベーシックカラーの落とし穴

合わせやすく、誰でも似合いやすいベーシックカラーですが、なんでもベーシックカラーで揃えればよいわけではありません。

素材、着用する部位、面積によっては印象が大きく変わり、コーディネートの難易度が変わります。

代表的な例を上げましょう。無彩色の白は本来なら使いやすいはずですが、白いパンツはどうでしょうか?

着こなせるとオシャレでかっこいいですが、着こなせてる人は中々街でも見かけませんよね。一般的にはトップスであるシャツに白を使うので、逆にボトムスであるパンツに白を持ってくるとなると、バランスが逆転してしまい浮ついた印象になるんです。

フレンチスタイルだとネイビーのジャケットを羽織り、足元に黒い革靴を合わせることで白いパンツの浮つきを抑えます。これは中級~上級者の着こなしです。

おすすめのアイテム別ベーシックカラーの揃え方

アイテムによって難易度が変わるので、アイテム別にある程度色を決めてしまったほうが揃えやすいです。

アウター(上着)はネイビー、グレーをまずは揃えます。春用のコートにベージュ、秋冬にカーキやブラウンもあるとコーディネートの幅が増えます。

ボトムスであるパンツはグレー、ネイビーをまずは揃えます。次にベージュ、カーキを追加してもいいでしょう。

インナーであるシャツ・Tシャツは、白、ライトブルーを揃えます。

ニットはライトグレー、ネイビー、黒をオススメします。

革靴やベルトなど革小物は茶か黒で統一します。

スニーカーは白、ネイビー、グレー、黒、ベージュのどれかを揃えます。

靴下はパンツに合わせたほうがいいので、グレーとネイビーを揃えます。あとは手持ちのパンツに合わせて統一します。

グレー

色として最も幅が広く、黒と白の間のすべてがグレーです。このトーンの幅広さが特徴で、トーンのコントロール要員としてこの上なく便利なのです。他の色の引き立てたり、中和したりと活躍の幅も広いです。

グレーはおおまかに以下の3つに分類されます。

ダークグレー
ミディアムグレー
ライトグレー

黒と白の中間の明るさであるミディアムグレーを基準として、それより暗い色をダークグレー、それより明るい色をライトグレーとします。

他の無彩色である黒と白はコントラストが強く出るので、印象としてキツくなりすぎてしまう場合もあります。

たとえば、黒だと「近寄りがたい」「重たい」印象になりがちですが、黒に近いダークグレーにワントーンダウンすることで少し雰囲気が柔和になります。存在感が強くて難しい白パンツですが、ワントーン明るさを抑えたライトグレーのスラックスなら誰でも似合います。

グレーは高い調和力を持つ一方で、逆に言えばはっきりとしない色でボヤけた印象になる可能性もあります。他の色との濃淡を意識して取り入れましょう。

グレーの与える印象

ポジティブ:上品、大人、落ち着き、穏やかさ、信頼

ネガティブ:曖昧、地味、無気力

グレーのおすすめアイテム

他の色を引き立てる性質のある縁の下の力持ちなため、ボトムスに向いている色です。ボトムスに配色することで安定感が出て、コーディネートの中心であるトップスを引き立てます。

グレーのウールスラックス

定番中の定番で、持っていなかったら買いましょう。どんな色でも合います。

イタリアの老舗パンツ専業ブランド、メイドインイタリアを貫くジェルマーノです。有名なインコテックスやPT01よりはお求めやすい価格です。

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GERMANO (ジェルマーノ)

ライトグレーのカーディガン/Vネック/クルーネックのニット

同じ色で濃淡をつけるトーンオントーン配色の基礎となります。インナーのシャツやTシャツを白にして、上に着るニットをライトグレーにすることで、統一感が生まれ、コントラストをやわらげ印象を中和します。これにネイビーのジャケットに合わせるのが定番です。

中に着るものなので薄手のほうが合わせやすく、ユニクロのエクストラファインメリノセーターでOKです。

https://www.uniqlo.com/jp/ja/products/E429064-000/00?colorCode=COL03

ライトグレーなので印象が重くならず、白一枚より爽やかすぎず、気恥ずかしさが緩和されるので、初心者ほどオススメします。

ネイビー

ネイビー(紺色)はベーシックカラーでもひときわ万能の色です。理由はヒトの肌の色は薄い黄色~茶色系になるので、その反対の補色は青、ネイビーだからです。補色はお互いを引き立て合います。そのため誰でも似合います。アウター、パンツ、インナー向きの色です。

落ち着いた清潔感のある印象があります。ビジネスやカジュアルでも使えますし、茶系ほどカジュアルではなく、近い系統の黒よりは重たい印象になりません。また、収縮色なので引き締まって見えます。

ネイビーは元をたどれば海軍の色です。制服にもよく使われ、堅実さや信頼性も表します。内向的で真面目な人にピッタリの色です。

手持ちの衣服が貧弱なら、まずはネイビーを中心に揃えてみてください。黒の服の代わりにネイビーを選ぶとグッと好印象になります。

ネイビーの与える印象

ポジティブ:清潔感、誠実、知的、真面目、冷静、落ち着き、上品、高級

ネガティブ:堅い、冷たい

ネイビーのおすすめアイテム

濃紺のブレザージャケット

紺のブレザー、通称紺ブレというと学生服の印象が強いかもしれませんが、誰が着てもサマになる大人の定番アイテムです。

カジュアルにはざっくりとした質感のあるポップサック生地が定番です。以下のスーツカンパニーの紺のブレザージャケットはイタリアの中堅ブランドREDAの生地で、品のある中庸なシルエット、サイズも豊富で2万円台とコスパ高いです。まさに紺ブレ入門にうってつけです。

https://www.uktsc.com/disp/CSfGoodsPage_001.jsp?GOODS_NO=570378

白は清潔感の高い色で、爽やかな印象があります。インナー向けで、実際シャツやTシャツやポロシャツは白色が定番で、買いやすく使いやすいです。インナー向きなのは光の反射率が最も高いので、顔が明るく見えるからです。インナー以外だとスニーカーでも定番の色です。

白にも真っ白な白と、やや黄みががかったクリーム色に近いオフホワイトがあります。オフホワイトは落ち着いたナチュラルな印象を与えます。

アウターやパンツに白を持ってくると面積が広くて目立ち、他との組み合わせが難しく初心者は避けたほうがいいです。最も明るい色なので外側だと着膨れて見えます。

黄ばみや汚れが目立つ色でもあるので、洗濯やメンテナンスはしっかり行いましょう。

白の与える印象

ポジティブイメージ:清潔感、爽やか、透明感、明るい、無垢、清純、神聖

ネガティブイメージ:味気ない、冷たい、潔癖、完璧主義者

白のオススメアイテム

白のオックスフォードシャツ

スーツ用に白いワイシャツは持っているかと思いますが、カジュアル用にもぜひ一枚持っておきましょう。オックスフォードは生地の名前で、縦横同数の糸を打ち込んだ平織りの一種です。厚手で丈夫で透けにくくシワになりにくい生地です。織柄がざっくりしていてカジュアル向きです。

白の無地Tシャツ

白無地Tシャツは定番ですが、乳首が透けやすいのが難点。以下のヘインズビーフィーは生地が肉厚で透けにくいのでオススメ。一枚で着ても、インナーとしてもどうぞ。

ベーシックカラーで便利なんですが、やや扱いが難しい色でもあります。初心者ほど避けたほうがいいです。靴、ベルト、財布、カバンなどの革の小物にはおすすめです。

黒は日本だと一般的に定着していますが、欧米ではあまり用いられない色です。修道士やフォーマルな色としての認識が根強いからです。

なぜ、日本で黒が定着したのでしょうか?歴史を紐解くとモードの世界からの流れだと思います。

1980年代、ヨウジ ヤマモトの山本耀司とコム・デ・ギャルソンの川久保玲は、西洋ではあまり用いられてこなかった黒を多用したコレクションを発表し、「黒の衝撃」「東からの衝撃」と呼ばれる新旋風を巻き起こしました。

黒は非西洋的な反抗の色なんですよね。

その後、若者たちの間で黒はあっという間に浸透し、全身黒ずくめの人たちはカラス族と呼ばれました。

時は過ぎて、2000年代初頭ぐらいにロック・パンクブームとともに、黒くタイトなスタイルが流行します。イヴ・サンローランやディオール・オムというトップブランドでディレクターを務めていたエディ・スリマンのスキニースタイルです。

肌に吸い付くような細身のスキニー、とくに黒スキニーがブームになってそのあと定番として定着します。スーツもブラックのスーツが流行になります。

そんな歴史があって、今に至るわけです。

色の中で最も反射率が低く、締まっていて高級な印象があります。しかし、他の色とのコントラストが強く出るので着合わせが難しいのですよね。これがモードという高度な世界で追求される理由なんだと思います。

そして、もうひとつの側面。一般に広まったおかげでカジュアルな市場では黒が溢れています。そして、ファッションに無頓着な人たちが消去法的に無難で目立たない色として選択するのが黒なのです。

コミケなどのオタク向けイベントやショップにたまに行くのですが、圧倒的な黒率の高さに驚きます… 若い男性に好まれる色なんですが、ネガティブなイメージも強く、女性にはあまり好まれない色です。

尖った色と無難な色の両方の面があって、黒を難しくしています。

春から秋までの長めの期間が高温多湿の日本では重く暑苦しい印象があります。また、布だとメンテナンスが難しく、ホコリが目立ったり白っぽくなりやすいデメリットもあって、個人的にはなるべく避けたほうがいい色だと思います。

小物は例外で、黒は使い勝手の良い色です。靴、ベルト、財布、カバン、そこまで面積が大きくなく、また小物に用いられる革やナイロンは丈夫で傷がつきにくく、白っぽくなりにくい性質も影響あるでしょう。

黒の与える印象

ポジティブ:スタイリッシュ、高級、フォーマル、孤高

ネガティブ:暗い、無難、消極的、近寄りがたい、重たい、子供っぽい

ブラウン

ベーシックカラーではカジュアルな色です。自然を感じさせる色合いで、素朴で優しく、堅実な印象があります。

一方でお年寄りを連想させるイメージもあり、地味さも感じさせます。実際年齢が高いほど似合うのもあって、若い方には少し難易度は高いです。しかし、うまくコーディネートに取り入れるとハイセンスなオシャレな印象を与えます。

服としては秋冬向きの色です。ツイードのようなざっくりしたウールによく似合います。

また、革物では定番カラーです。靴を始め、ベルトやカバンも茶系で統一するといいでしょう。他のベーシックカラーとの相性も抜群によく、黒よりカジュアルなため使い勝手がいいのです。

ブラウンの与える印象

ポジティブ:温和、優しい、素朴、安心、堅実、伝統、ナチュラル、渋い

ネガティブ:地味、頑固、ジジ臭い、古臭い

ブラウンのおすすめアイテム

茶色の革靴

パンツによく使われる色のネイビー、グレー、ベージュと相性抜群なのが茶色の革靴です。カジュアルでもビジネスでも使えます。

ジャランスリウァヤは靴の本場イギリスで修行したインドネシアの職人のもと作られる本格靴です。

ベージュ

これもベーシックカラーではカジュアルな色です。広義で言えばベージュもブラウンの一種です。元は羊毛の生成りの色という意味です。

優しい色合いが柔和で上品な印象を与えます。ブラウンに比べると明るい色で、地味さが薄れるので服にも取り入れやすいです。印象が軽いため春らしい色でもありスプリングコートでは定番の色です。チノパンツや靴のスエード素材などでも定番の色です。

ベージュの与える印象

ポジティブ:柔和、上品、素朴、ナチュラル

ネガティブ:地味、あいまい

ベージュのおすすめアイテム

ベージュのチノパンツ

定番のアイテムです。ネイビーのアウターと補色なので特に相性がよいです。ベージュは膨張色なので、細めのスッキリしたシルエットを選ぶと野暮ったくなりません。

Gapのチノパンはシルエットがスッキリしていてサイズ展開も豊富なのでオススメです。スキニーと言ってもパツパツではありません。足太い人はスリムフィットのほうをどうぞ。

https://www.gap.co.jp/browse/product.do?pid=472760086&vid=1&sdkw=gapflex-P472760

スウェードの靴

スウェードは起毛の革です。カジュアル向きで防水スプレーをかけておくと雨にも汚れに強くて便利です。

クラークスのデザートブーツ。カジュアルのスウェード靴の定番です。スニーカーより上品でスラックスからジーンズまで合う万能な一足。

ライトブルー

ごく薄い青色。白に近くインナー向きの色です。とくにシャツ向きで、シャツの定番カラーです。白シャツ以外にカラーバリエーションを考えるならまずこのライトブルーを検討してみてください。

なぜシャツ向きかというと、肌色と補色(正反対の色)の関係にあるので、顔色を引き立てるからです。白と同じく爽やかで清潔感のある印象を与えます。女性に印象がいい色です。

白よりはカジュアル寄りの色で冠婚葬祭などフォーマルなシーンではNGですが、ビジネスでもオフでも使えます。

ネイビーとトーンオントーンになるのも使い勝手のよさがあります。

ライトブルーの与える印象

ポジティブ:清潔感、爽やか、透明感、品が良い

ネガティブ:冷たい、孤独

ライトブルーのオススメアイテム

ライトブルーのオックスフォードシャツ

白のほうでもオススメのオックスフォードシャツのもうひとつの定番色がライトブルーです。一枚で着ても、ジャケットのインナーとしても便利なアイテムですのでぜひ一枚は持っておきましょう。

カーキ系

カーキはくすんだ黄緑色です。カーキは本来は土埃色で赤みの強いベージュに近い色合いなんですが、ファッションでは黄緑系の色合いを指します。

カーキの系統として以下の3つはややくすんだ黄緑系としてひとまとめに扱われています。

カーキ
オリーブグリーン
モスグリーン
ファッション上での色合い

ミリタリーでカモフラージュに使われている色なので、アウターやパンツで使われることが多いです。どちらかというと秋冬向きの色です。

同じアースカラーのベージュや茶色と合わせやすく、ネイビーとも相性いいです。色のなかではカジュアル度が高いので、かっちりした印象を和らげます。

カーキの与える印象

ポジティブ:ナチュラル、リラックス、無骨、素朴、上品

ネガティブ:戦争、軍服、地味

カーキのおすすめアイテム

カーキのコットンパンツ

カーキで定番のカーゴパンツはミリタリー色が強く、ポケットが多いのは子どもっぽい印象もありますが、チノやツイル生地などのコットンパンツならそうはなりません。

https://www.gap.co.jp/browse/product.do?cid=1009673&pcid=5150&vid=1&pid=472760086